
ワシントン条約
二胡はニシキヘビの皮が使われているために、ワシントン条約で輸出入が規制されています。そのため専門店でなければ(ほぼ)扱いがなく、知識のない方には価格相場が分かりづらい楽器になります。
そういった「見つけにくさ」も、二胡が未だ珍しい楽器だと言われる理由のひとつだと思います。
楽器探しのお手伝い
◆初めての購入
何をどう探したら良いのか分からない&失敗したくないので、先生に見繕って欲しいという方
◆買い替え
今持っている楽器から、更にクオリティの高い二胡に買い替え希望の方
お声がけ下さい。当教室では、ご希望の方に、楽器探しのアドバイスや、楽器のご紹介をしております。価格帯はどのようでも、その中で最高の相棒が見つかりますようお手伝いさせていただきます。
楽器は人生のパートナー
楽器はこれからの人生のパートナーとなる、かけがえのない大切な存在です。
ご自分の「声」となり、一緒に笑い、泣き、どんな未来も、逞しく!しなやかに!、この先を寄り添ってくれるベストパートナーです。
あまたある糸の海から、最初から繋がれているかのごとき「人と楽器との糸」を見つけ出す気持ちで、真摯に探させていただきます。
二胡選び:試し弾き
レッスンの日か(長めにレッスンをとります)、別日を設定します。楽器選びに要する時間は、料金は発生しません。レッスン室とは別の部屋で、じっくり試していただきます。
二胡を前にして、6~7時間、悩む生徒さんもいらっしゃいます。夜中になってしまったり、その日中に決めきれず、翌日に再度試される方もいらっしゃいます。
それは私にとっても時間をとられることなのですが、それだけ楽器選びは重要なことですから、労力も時間も惜しんではいられません!
楽器を弾くものにとって、これ以上に重要なことはないでしょう。
素直に、自分の感覚に耳をすませて、どの二胡と引き合っているのかを見誤らないように、サポートいたします。
私の失敗談
※失敗プロローグ
一番最初は、上海の楽器店で購入した二胡です。中国で3~4千円程度でした。その楽器で、とりあえず体験に行って、よければレッスンを受けてみようと思っていました。できるものだと思ってました。
しかし先生に見てもらったら「おもちゃです~。使えません~。」と問答無用でバッサリ! アマゾンなどで1~2万円で売っている二胡と同等レベルのものです。
二胡の購入について全く考えていなかった私は、ひえええ!となりました。購入する予算はどこにもないし、、どこから出すわけ??? という感じでしたが、先生のお人柄も良くて、「やってみたいかも、、」と思い、ありがちですが、その場で二胡のレッスンをスタートすることになってしまいました。
そういうわけで、まともな楽器を先生のご紹介で買い直すということになりました。
・・・・・
先生に見繕っていただいた二胡は3本ありました。
その中から、私は18万の二胡を迷うことなく選びました。音色ではなく価格で選びました。それが並んでいた中で一番安かったからです。選ぶ余地なし!で即決です。
今思えば、18万は普通に考えれば高額ですよ。しかし、他に候補がなかったのですから、レッスンは始めることになっているし、今更あきらめる気もないし、おもちゃ楽器は使えないし、引くに引けずで、「ええい!もうこれでいいや!」と、勢いで、清水から飛び降りたわけです。
材質は謎なのですが、おそらく老紅木です。西暦2000年の話です。
それに、当時の二胡は、今よりずっと手に入りにくい楽器でしたので、自分で手に入れるという考えはなかったんですね。近所の山野楽器(自由が丘)のバイオリンのガラスケースの中にぶら下がってましたが、それが20万くらいで、「え? 日本では二胡って高いの?」という感じでしたから、「あ~、もう~、仕方ない!」という感じでした。
二胡の音色を知らない状態で始めたので、最初は全く気になりませんでしたが、ある程度弾けるようになってきた時に、自分の二胡の音色に、奥行きがないことや、潤いがないこと(乾いた音がする)が、フラストレーションになってきました。2年半ほど経ったところで「も~嫌だ!」となり、一気に上限突破!で、どどーんと40数万のインド紫檀に買い替えることになりました。買い替えは二度としたくないと思ったからです。(その楽器は大当たり。私にとって最高の!二胡でした。)
考えてみてください。そこに18万を上乗せすれば、どれだけの楽器が手に入ったことか!もったいなさすぎます!
ちなみに、その18万の老紅木ですが、その後の20年間、ケースから出ることは一度もありませんでした。今はレンタル楽器として頑張ってくれていますが。。。
でも、仕方ありませんね。最初は、そもそも予算がありませんでした。
それに、上海の楽器店で二胡を見た後だったので、そこの店主と話をした印象で、中国の相場はなんとなく知っていて「二胡だから、せいぜい5万、高くたって10万出せば、かなり上質な二胡が手に入るだろう!」という強い思い込みがありました。二胡に18万出すことすら、ありえないことでした。
以上が、結局2度買い(正確には3度!)をする羽目になったという、私の失敗談です。
とにかく言えるのは、慌てないことです。
できれば、自分の耳がある程度できてから、自分で弾けるようになってから、楽器は選ぶ方が良いです。そして専門知識のある人のアドバイスを聞くことです。
先生に相談しながら、自分でも下調べをして、納得のいく楽器を選びましょう。
→ 私の教室では、楽器をお持ちでない初心者の方は、最初はレンタル楽器でレッスンすることをすすめています。3ヶ月ありますので、チューニング含めて楽器の扱いもスムーズになりますし、ある程度弾けるようになってきます。満を持してで、楽器選びをするという流れです。
自分の感覚を研ぎ澄ませて、自分で二胡を手にとって、音をだして、ベストパートナーを見つけるのが良いと思っています。
ネット購入の注意点
私の生徒さんでない方へ。
ネットで購入する場合は、営業実績のある、信頼のおける二胡販売の専門店での購入を、強くおすすめします。
アフターケアの相談に乗ってくれる販売店がおすすめです。
初期の段階で楽器に不備が出た場合、無料で修理してくれるはずです。ネット購入であっても安心ですよね。
電化製品とか何でも売っているサイトで、何故か二胡を扱っているショップがあったりします。謎すぎますのでやめましょう。楽器の出どころが?です。中国サイトで安く仕入れたのか、とにかく、良いものであるはずがありません。不備のある楽器が届くかもしれません。時間の無駄ですから、いくら安くても、謎ショップでの購入はやめましょう。
アマゾンは無法状態です。販売店の住所が中国でしたらやめましょう。危険です。振り込んだのに何も送られてこない、、という状況になるかもしれません。
グーグル検索をかけても、怪しい偽サイトがウヨウヨでてきます。二胡は騙しやすいんでしょうね。「著名な作家の二胡だ!安い!ラッキー!」と、飛びつかないように。そんなに安く売られるはずがありません。高いから本物ということでもありません。私が見ても瞬時で分かるくらいの、笑ってしまうくらい堂々たる偽物です。偽物はメルカリも多いです。決して振込しないように気をつけてください。ご自分の先生に相談してくださいね。
グーグルで検索をかけた時点で、説明に自動翻訳を使っているサイトは、開かないようにしてください。ヤフーショッピングなどでは、店舗情報を開いてみてください。漢字が変になっていたり(中国の簡略文字)、住所検索して「どう考えても、ここで商売してるはずがない!」という場所がでてきた場合は、ニセ店舗の可能性が高いです。コメントも偽ですから騙されないように。ヤフーでも楽天でも、住所が中国になっている販売店は論外です。危険ですのでクリックしないようにしてください。
日本で商売されている、二胡愛好家から信頼されている、経験値のある販売店を選んでください。
試し弾き可能で、送料自己負担でも返品可能な店舗での購入を、絶対的に、おすすめします。
楽器は個体差がありますが、それ以上に、自分との相性があります。音色の好みもあります。
身体的に合っているかどうか、ということもあります。
手の小さい女性は、竿の太さも気にしてください。太い楽器は演奏しづらいです。男性は気づかないポイントなのですが、構えているだけで手の骨が痛くなります。工房によって竿の太さは違います。微差ですけれども、手の小さい方には影響します。楽器店に確認してくださいね。
二胡の価格帯
あくまでも目安です。
二胡は、弓とケースがセットになっています。
(松脂や弦も付属されていますが、オマケ程度の質ですので、後で買い替えた方が良いです)
◆入門用のスターター二胡
税込4~5万円台
この先、買い替えることを前提にした、学習用の二胡です。
ほぼ底値ですので、いくつかから選ぶということではなく、決め打ちでの取り寄せになります。教室で不備がないかを確認して、演奏できるように整えてお渡しいたします。
いつか買い替えることを考えますと、この分の金額が無駄になるかもしれません。
しかし、自分の二胡への気持ちや、演奏が安定するまでは、初心者セットで学んで、その後で本当に欲しい楽器を選んでいこうという方には、良い選択だと思います。レッスンするには全く支障のない、十分な二胡です。
音色は(底値ですので)それなりです。奥行きのない乾いた音色の傾向があるかもしれません。これ以上の価格帯の二胡には及びません。そこが気になる方は、7万円くらいの楽器を選ぶといいと思います。
※長く使うと木材がひび割れたり、不備がでてくるかもしれません。
そういう二胡に私は遭遇したことはありませんが、低価格帯の楽器は、木材の乾燥が至らなくて収縮による割れが出たり、薄い皮を使用しているため不備がでる可能性があることを了承ください。
◆1~2万の二胡
お土産用の簡易二胡と思っていいです。レッスンには不向きです。
私が二胡を始めたころは、3万円弱で、初心者用の良い二胡セットがありましたが、今は価格が上がって、そのあたりのものは4万前後になっています。
アマゾンなどで売られている1~2万の二胡は、中国で数千円で販売されているお土産的な二胡です。蛇模様のプリントだったり、適当な木を塗装して材料としていたり、中古楽器をリサイクルして新品に見せていたり、部分的にプラスチックだったりします。
独学で遊ぶ程度なら良いと思いますが、これからレッスンを始めていく気持ちに寄り添えるほどの、存在感や音質があるかというと、それは難しいです。明らかに音質は悪いです。特に高音の発音が悪いです。自分が良い音を奏でられないと誤解して、気分も下がってしまうかもしれません。
※この質の楽器で、蛇皮=天然皮は、真っ赤な嘘です。騙されませんように。ヤフーショッピングでそんな二胡を見かけましたが、説明にそのように書いてある時点で、いいかげんな店舗です。
天然ニシキヘビが使われる二胡は、最高級品(5、60~100万)です。今はほとんどの二胡が養殖のニシキヘビを使用しています。
※バカ鳴りする二胡=質のよい二胡ではありません。
初心者の方は、大きな音が鳴る=良い二胡と、思ってしまうかもしれませんね。
そうではないです。人の歌声と同じです。ただ大きい=乱暴な感じがしませんか? 鍋の底をバンバン叩いているのも音だとしたら、鼓を打つのも音です。鍋の底では品のある表現は難しそうですよね。
そこに創造性があるかどうか、豊かな音質であるかどうか、楽器選びはその視点を知っておくと良いと思います。
◆少し良い楽器でスタートしたい
7万~10万円前後
もう少し品質が良いもので始めたいという方は、このくらいの価格帯の楽器になると思います。音質は良くなります。紅木の二胡になると思います。
◆それより上で良い音色を追求したい
13万~17万
音質に奥行きが出てきて、音のレスポンスも良くなります。二胡で歌う感覚がつかみやすくなります。中には「当たり」の二胡もあります。
材質としては、紅木、黒檀、アフリカ紫檀あたりになると思います。
◆老紅木には予算が足りないけれど、上質な二胡を見つけたい
17~19万
黒檀、アフリカ紫檀あたりで、上質な演奏用の楽器を見つけられると思います。
◆二胡といえば老紅木
20万以上
老紅木(ろうこうぼく)は最も二胡らしい音色といわれる木材です。総称であって木材の種類ではありませんが、楽器を響かせることに適した、選ばれし銘木であり、長い歳月をかけて乾かされたものです。
更に大変古い歳月をかけて乾燥させた木材は、明清旧料老紅木と、カテゴライズされています。
木材にこだわる=老紅木にこだわる=音色を追い求めたい方は、このあたりからになります。演奏用二胡として、奥深い音色を奏でられる楽器です。高音までしっかりと発音できる、響きのよい上質な楽器になってきます。
◆質の高い上級二胡
30万~、40万~、50万あたり
木材の種類、古さ、蛇皮の状態、作家など、もろもろで価格がついています。作家のこだわりと技術が随所に活かされ、銘が入ってきます。人馬一体といいますが、奏者と二胡がまさに一体になるかのような、奏者の気持ちを十分に引き受けられるだけの、世界観を持っている、クオリティを備えた二胡になると思います。
演奏家は40万以上の楽器を使われるのかな、、と思いますが、お気に入りは人それぞれです。
20万台の二胡を選ぶなら、30万台も試奏してみるといいかもしれません。数万の差に大きな価値を感じるかもしれません。
◆天井
60~70万台
大変高価です。手に入りにくい著名な二胡の作家、希少な材料で作られた二胡、天然のニシキヘビを使用した二胡などが、ここにくるかなと思います。インド紫檀はこのあたりか、それ以上でしょう。
二胡はバイオリンとは違い、ここで最高値ですから、考えようによっては価格幅の狭い楽器です。一生に一度のものとして、願いを込めて、選ばれるのも良いと思います。
これ以上の価格は、収蔵品級で、特別なタイミングに、特別な製作者が作った二胡か、販売店の価格の付け方(盛り方)で高くなっている楽器です。付加価値を含めてつけられた値段だと思います。
本国でいくらするのか確認したいところですが、それは難しそうですので、あまりにも高額な楽器については、必ず信頼できる店舗で、詳しい説明を聞いてからの購入がよいと思います。
◆中古
中古が良いということは、二胡に関して言えばないと思われます。
新しいものを購入することをおすすめします。
なによりもニシキヘビの皮の張りの状態です。中古は、前の持ち主がどう扱っていたかが分かりません。皮がゆるくなっていたら全然ダメです。見た目は綺麗にクリーニングされていても、緩みは戻ることはありません。皮を張り替えるだけで結構な金額が飛びますので、そうすれば良いとい考えも注意です。
初心者用楽器を購入する変わりに、メルカリで2万の中古でどうでしょう?という考えもあるかもしれません。金額にかかわらず、中古品は楽器の状態が分からない=皮の状態が分かりませんから、講師としてはおすすめしづらいです。ほぼ新品もあるかもしれませんが、ペコペコ、カンカンの、乾いた、薄っぺらい音色の二胡かもしれません。であるなら、4万前後で新品の初心者用楽器がセットで購入できるわけですから、そちらのほうが良いのではないでしょうか。
◆皮の張りは、いつか緩む
楽器のランクにもよります。
最高級の二胡でしたらそこまで心配いらないと思いますが(大切に皮を扱っていれば)、安価な二胡は、いつか緩みは出てくるかもしれません。
高価な楽器は、最高の皮の部位を使っています。強いです。
安価な楽器は、その反対です。そして皮が薄いです。木材も完全に乾燥されていない可能性がありますので、収縮して、皮の張りに影響するかもしれません。
作家が、楽器に命を吹き込むべく、魂を込めて、技術を駆使して、皮を張った二胡と、大量生産の流れ作業の二胡は、そもそも皮の張りは異なります。
度合いはあるでしょうけれど、張りが失われると、音のレスポンスが悪くなり、芯がぼやけてきます。それもいいニュアンスになったりしますが、緩みが進むと、ベコベコした音になります。
質の高い楽器でしたら、20年、30年、それ以上と、丁寧に扱っていれば演奏できるでしょう。しかし、音色のピークは(永遠に上昇し続けるのではなく)いつかやってくる楽器です。
ピークを超えて、音色に緩みがでてきたら、それはそれで色合いがでてきたということで、人生のように、味わいとして奏でていくと思うのが良いと思います。
※購入したら、皮部分は丁寧に扱いましょう。保護棒を使ったり、糸巻きを緩めるのも良いです。
しばらく弾かないときは駒を外しましょう。
◆中古で著名作家の二胡を手に入れるってどうですか?
憧れの作家の二胡だとしても、前の持ち主が、どれだけ大切に扱っていたかは分かりません。特に皮部分です。楽器のピークが過ぎたので、使えなくなったから持ち主は手放したのかもしれません。本当に良い楽器なら手放さないのでは?という気もしますよね。そこは注意しましょう。
ほぼ新品!という確証があるもので、しっかりした店舗を通して手に入れるものであれば、信頼できると思います。そういう意味では楽器は出物ですので、よい巡り合いがあるといいですね。
※皮を張替えるという手もありますが、もとの音色は失われます。注意です。
※低価格の楽器は、皮が薄いですから、新品でも乾いた音がする傾向にあります。
バイオリンは中古が値が高い、という考えは、ちょっと違います。
大量生産の楽器は当然のことながら、低品質のバイオリンは中古がいいとはなりません。安い家具が劣化するようであるだけです。
オールドでもモダンでも、未来へと繋げられるだけの質がなければ、中古に高値はつきません。しかし、二胡のように生物の皮は使っていませんので、生き物の劣化という局面はないですから、長持ちします。
指定楽器はありません
教室の指定楽器はありません。ご自身のチョイスでお好みの楽器をお使いいただけます。
新しく購入する際のポイントを記しましたが、知人から譲りうけたという低価格帯の二胡でスタートされる方もいらっしゃいます。それも大丈夫です。
楽器にどれだけのお金をかけるかは、それぞれです。どんなクオリティの楽器であっても関係ありませんので、レッスンしてまいりましょう。
迷っている場合
当教室では、まずはレンタル楽器で様子をみる、ということをいたします。
二胡を学ぶうちに、自分の二胡への思いや、演奏の感覚が、整理されていきます。いきなりではなく、自分の好みが分かってきたところで、楽器を選ぶのが良いと思っています。
それは、私自身の失敗!(18万老紅木事件)の経験があるからです。もったいないですから、そんな無駄をさせたくありません。
選び方としては、2方向ですね。
1:入門クラスの楽器でまずは様子をみて、本格的に続けたいと思った時に、本命楽器を探す。
2:様子見の楽器の金額がもったいないから、最初から人生のパートナーとなる楽器を探す。
そのあたりも、ゆっくりとご相談に乗ります。
くれぐれも慌てて購入に踏み切りませんように。
二胡も未来も逃げません。
全て、良いタイミングで、揃ってきますのでね、満を持してで参りましょう!